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生理用品、広がる選択肢

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生理用品、広がる選択肢 繰り返し利用、ごみ削減にも


07/09 05:00北海道新聞朝刊抜粋


店頭に並ぶカラフルな月経カップと吸水ショーツ=札幌市中央区の大丸札幌店


 生理用品の選択肢が広がっている。体内で経血をためる月経カップと、ナプキン不要の吸水ショーツは、繰り返し使え、ごみが出ないのが特長。市場の主流は紙ナプキンだが、より快適に月経期間を過ごしたいと、手にとる人たちが道内にも出てきた。


月経カップ・体内で経血ためる 吸水ショーツ・何層もの布で吸収


 月経カップは医療用シリコーンなどの軟らかい素材で作られ、直径5センチ程度の鈴のような形をしている。膣(ちつ)内に直接入れて使い、経血がたまったら、カップ内の経血を捨て、再び洗って装着する。種類によっては、最大12時間着けられる。


 札幌市豊平区の女性看護師(30)は、夫の姉から「これいいよ」と勧められたのを機に、2018年から月経カップを使い始めた。


 2個入り5千円程度のものをオンライン通販で購入。最初は「少し怖いな」と挿入に抵抗感があったが、徐々に慣れた。「椅子から立ち上がる時に、経血がどっと出る不快感がない。繰り返し使えて経済的にもいい。血の量や色を確認できるのも良かった」とメリットを実感する。


 ただ、普段経血量が多く使用中にカップがあふれないか不安で、カップを交換する時、手が汚れるのも難点だという。このため仕事中は紙ナプキン、夜間や家で過ごす休日は月経カップ、と使い分ける。


 月経カップを販売するインテグロ(東京)は21年6月、月経カップを利用する282人を対象にアンケートを実施。回答者のうち30代が48%、20代が25%を占め、10代も2%いた。使い始めた理由は「生理期間をもっと快適に過ごしたいと思ったから」が70%だった。


 同社の生理ケアアドバイザー、木下綾乃


同社の生理ケアアドバイザー、木下綾乃さん(32)は「紙ナプキンにかぶれて生理のたびに皮膚科に通っていた人や、職業柄、長時間トイレに行けない人、ワンオペ育児で月経中も子どもとお風呂に入りたい人などもカップを愛用している」と話す。公共トイレで個室内に洗面台がない場合は、清潔な手で取り出したカップをトイレットペーパーやウエットティッシュで拭き、再度装着する方法があるという。


 同様に、繰り返し使える吸水ショーツは、吸収性のある布が何層も重なっていて、ショーツ自体が経血を吸水する。


 札幌市内在住の団体職員、宮西涼美さん(28)は今年4月に約2千円の吸水ショーツを2枚買った。「最初は漏れるかな、と心配したが、今では安心して使えるようになった」という。経血量の多い日や人に会う日は念のため、紙ナプキンと併用。1カ月の紙ナプキンの使用量は以前の3分の2の20枚程度になり、「大量のごみで環境を汚す罪悪感も薄れた。洗濯は少し面倒だが、そこまで苦にならない」と話す。


 斗南病院(札幌市中央区)の産婦人科医、石堂茉泉(まなみ)さん(33)によると、月経中の女性の1回の経血量は20~140ミリリットル。目盛りのついた月経カップであれば、1日の経血量を量れ、健康チェックの目安になると指摘する。一方で、子宮が下がってくる「子宮脱」がある人など月経カップが向かない場合もいる。


 売り場でもまだ新顔の存在だ。札幌市清田区のツルハドラッグ清田店の生理用品売り場では、2021年11月から、月経カップと吸水ショーツをそれぞれ2種類ずつ展開しているが、3~5月の売り上げはゼロだった。店長の寺田美幸さん(29)は「浸透にはまだまだ時間がかかりそう」と話す。


■月経もっと快適に もっとオープンに 道内にも専門コーナー登場


 道内では新しい生理用品を広める動きも出てきた。月経や女性の体の悩みをオープンに語る雰囲気が生まれていることも背景にあるようだ。


 「生理用品の社会史」の著者で、歴史社会学者の田中ひかるさんによると、生理用品が多様化する背景として、女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決する「フェムテック」市場が欧米で拡大し、ここ数年で国内メーカーが相次いで参入したことがある。


 生理用品を買う時に紙袋に用意され、月経を隠すのが当たり前とされる社会に異議を唱える「No bag for me」(紙袋はいりません)運動など、「『生理を語ろう』という動きがメディアや交流サイト(SNS)で広がった影響がある」と田中さんは指摘する。


 生理用品の無料配布などを行う一般社団法人「JOY」(函館)は、今年6月、函館市内で性や生理を語り合うイベント「生理と性とフェムテック」を開いた。参加者が手に取れるよう、吸水ショーツや月経カップを展示。代表理事の佐々木絵美さん(37)は「繰り返し使えるので防災グッズにもなる。初期費用はかかるが、経済的。性自認に揺らぎがあり、ナプキンを買うことが精神的に苦痛な人にも勧める」と話す。


 百貨店なども専門の売り場を設けて、積極的にPRしている。


 大丸札幌店では昨年12月から「フェムケア売り場」を設置し、吸水ショーツ3種類、月経カップ2種類などを販売する。特に吸水ショーツは、小中学生の娘のいる母親のほか、尿漏れに悩む高齢者のニーズもあるという。婦人雑貨担当マネジャーの三浦小百合さん(50)は「売り上げはこれからだが、継続的に展開し、認知度を上げたい。新しい生理用品は月経を前向きにとらえることにつながると感じる」と話す。


 札幌ロフト(札幌市中央区)でも、21年春から店の一角にサニタリー用品の売り場を設置。5種類の月経カップと4種類の吸水ショーツが並ぶ。企画販促チーフの佐藤薫(かおり)さん(40)は「テレビで見て、実際にどんなものか見に訪れる20~30代の女性が増えた印象。いろいろと試して、月経中の気分を変えてもらえれば」と期待している。


紙ナプキン 今も主流


 月経カップや吸水ショーツといった新しい生理用品に注目が集まる一方で、従来の紙ナプキンは今も多くの人に支持されている。


 ツルハドラッグ清田店では、生理用品の売り上げの約8割は紙ナプキンで、残る2割はタンポンが占める。紙ナプキン約20種類の中で、今年特に人気が高いのは、肌に優しいとされるオーガニックコットンの商品。このほか、ショーツ型ナプキンも伸びており、オムツのように履くため、同店は「睡眠時に寝返りを打っても経血が漏れる心配がない」と勧める。


 斗南病院の石堂さんは「生理用品は何が良いとは一概に言えない。個人の使用感によって選んで」と話している。(有田麻子)